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「帰省自粛」による春節商戦は「モノ消費」が主役か。

2021年1月19日

国定休日の中で一年を通じて、中国人にとって最も大切にしている春節の連休が間近。例年、延べ25億人が帰省や旅行で移動し、「世界最大の民族大移動」とも言われる。

※2020年春節の杭州駅構内と改札

 

しかし新型コロナウイルスの感染が新たに広がっており、政府や地方自治体がこぞって「帰省の自粛」や「時差帰省」を呼びかけ、一部の企業は帰省しない勤労者に特別ボーナスを支払う措置を検討している。

 
中国では西暦の年末年始は重視されず、1月1日を祝日とする以外、その前後は通常と変わらない。今年の春節は2月12日。大晦日にあたる2月11日から17日までの1週間が公式の休暇となるが、有給休暇を取って休みをつなげる会社員や、春節前で契約切れになることが多い出稼ぎ労働者など、勤め人でも半月や1か月ぐらい休む人も珍しくない。連休中は親戚同士が互いの家を順番に訪れ、新年を祝って食事や酒を交わし、学生や若い勤労者も同級生の自宅に集まって交流を深める。2021年に入り、首都・北京に隣接する河北省を中心に新型コロナの新規感染者が確認されるようになった。このまま春節を迎えれば、移動や会食で感染が爆発的に拡大する恐れがあり、そのため政府は「原地過年(現在地での年越し)」を呼びかけ、「企業・団体は従業員職員が春節中も現地にとどまるよう、最大限の措置を取ること」と指示。
これを受け各企業は、春節期間以外のいつでも長期休暇を取れるよう勤務態勢を柔軟にすることや春節期間中に出勤した人にすぐ割増賃金を払うこと、さらには勤務地にとどまるだけでボーナスを支払う措置を検討している。

 
北京市は昨年12月下旬、「特段の理由がない限り、北京を離れないこと」と市民に呼びかけ、特に「市政府や共産党の幹部は北京にとどまり、どうしても離れる場合は厳格な審査を受けること」と命じた。「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深セン市も「公務員や国有企業の従業員が市を離れる場合は申請が必要」と通知している。多くの出稼ぎ労働者が働く上海市では、「帰省する場合は春節の時期をずらしてほしい」と「時差帰省」も提唱している。一方、安徽省、四川省、湖南省など多くの出稼ぎ労働者を輩出している「輸出省」の側も、「仕事先からの帰省は控えて。通信アプリの微信(WeChat)やインターネット、電話などで家族と交流してほしい」と一斉に呼びかけている。また、帰省する場合も「1週間以内のPCR検査の陰性証明」などが必要としている。その他、春節時期の移動者を減らすべく鉄道部門は今月7日より、既に購入した列車の切符を無料での払戻対応を実施。国家衛生健康委員会は「家族などプライベートな会食は10人未満とする」よう求めている。

 
中国では昨年前半で新型コロナウイルスの流行を収束させた。昨年10月の国慶節(建国記念日)連休中は経済回復を目的に、旅行を奨励する中国版「Go To キャンペーン」も行っていたが、春節では一転して自粛などを促すことに。